金沢文庫
雨の日曜日、横浜の野島に行って来た。雨のそぼ降る海が見たかったからだ。ひと通り見学し終わって、昼過ぎには雨は上がった。ついでに近くの路地裏も見ようと思って金沢文庫に向かった。
金沢文庫は狭い範囲ではあるが面白い路地裏を有していた。私はいつもの様に快調に撮影しまくった。するとある若いカップルから声を掛けられた。「今撮った写真に私が写りましたか?」私も30年写真を撮って来て初めてこんな風に言われた。もし写ったなら消去して欲しいと。私はアンダーな白黒で端っこに小さく背中の写った液晶画面を見せた。カップルがどの様な画像を期待していたかは知らないが、二人は画面を見てハッキリと分かるようなおやっという表情を顔に出した。結局は言い出された事ではあるので画像は消去されたが、カップルもスッキリしない様子で立ち去って行った。
私もスッキリしなかった。私のような善良に見える人間を見間違えるとは、カップルは今までにいったいどれ程の酷い盗撮をされて来たと言うのか。そういった悪意のカメラマンが実際にいるということだ。カメラを持つ前に心を入れ替え給え。私は気を取り直してまた撮影に出かけよう。
まあ、公道上に於いては、肖像権よりも表現の自由が優先されるというのが法律の解釈ではあるのだが。嫌な気持ちになる人間が出ないように、撮影者は作品制作として真剣に撮影に臨むことが大切である。