梅屋敷
趣味で撮る写真は本当に幸せだ。撮りたいものが分かっていて、休みの日になれば出かけて行って楽しんで撮って帰って来る。機材も自分で選択し、時には冒険的で荒っぽい撮影方法などをとったり。評価が欲しいなんて言いはしない代わりに、誰からもとやかく言われることも無く。失敗しても誰も知った事じゃない。
その点プロというものは、写真で世間に乗り込んでやろうという、大きな根性とエネルギーを持った人間だと思う。
私が写真館で働いていたのはまだフイルムの時代だった。給料が安すぎて生活出来なかった。そこで覚えたのはモノクロの現像とプリントだった。プライベートでは富士山を撮影していた。その頃は田中長徳先生が人気者で、毎日自転車に乗って東京を撮影する写真が連載されていた。どうして富士山を撮らずに街なんか撮ってるのだろうと理解出来なかったが、今なら分かる。フイルムはベルビアやKRを使っていたが、森山大道先生からモノクロの魅力を教わった。
梅屋敷という名前は良い。蒲田の隣だからか、ここの商店街は盛り上がっていた。とにかく自転車だらけだった。